ここ数日なんどかかかってきてた電話。
最初に気づいたのは早朝。
前日深夜の着信履歴。
プライベートで使っているほうの携帯(仕事用と2つ所持)に登録されていない番号で。
ただし、仕事用に使っていた携帯ももちろんプライベートでも使うし、そちらのほうが古くから使っているという理由で、仕事用にしか入っていないプライベートなアドレスもある。
ということで、そちらでチェック。
が、登録されていない番号。
呼び出し時間が極端に短かったので、ワンギリかも知れないと思い、とりあえずは無視することに。
僕の電話番号だけ教えてて、相手のは聞いていないって言う例もあるにはあったけれど、その人だったら用事があればかけなおしてくるだろうと思っていたし。
で、それから数日後。
気づいたのは夕方。
気がつけば携帯に不在着信のマーク。
履歴をみると、おそらくこの間の着信と同じ番号。
呼び出し時間0秒。
・・・。
電波が届かなかったのかな?
もしくは、やっぱりワンギリ?
で、無視。
さらに数日後。
夕方聞きなれない着信音が鳴った。
そういえば、登録以外の番号からはこの音だったなぁと思いながら携帯を開くと、見覚えのある番号。
ここしばらく何度か着信のあった番号だ。
しかも既に10秒程度鳴ってる。
仕事中だったのだけれど、大して支障がなかったのででることにした。
「はい、もしもし」
僕が電話に出たものの、相手は無言のまま。
思わずぞっとしたものの、なぜか相手が女性のように感じられた。
心当たりを探す。
いろいろなことを注意深く思い出しながら考える。
仕事でお客様に携帯から電話をすることもあるので、まれにお客様から「○○デンキさん?」とか「○○さん?」と、取引先の会社名で呼ばれることがある。
が、この番号はまったく見覚えがなかったし、そういう風にかけてくる相手とは雰囲気が違う。
オンフックでかけてきて、僕が出てから受話器をとる場合もあるだろうけれど、そのときの無音とは明らかに違う。
誰かが受話器(相手も携帯だったけれど)を確実に耳に当てて、こちらの様子を伺っている。
かすかに息遣いも聞こえる。
なにか、声を発しようとして、飲み込んでいるような感じがする。
とても異様な雰囲気が伝わってくる。
昼間だというのに、その一瞬の無音が僕に寒気さえ感じさせたのは、やはりただ事ではない。
一瞬の間をおいて、さいど「もしもし?」とややゆっくりめに言ってみた。
「ぁ・・・ぅ・・・」
電話の向こうから、微かに声がした。
何かを言おうとして、それがなかなか言葉にならない感じ。普段声を発するはずのないものが、むりやり声を出そうとしているような感じ。
全身に鳥肌が立つのを感じた。
依然聞いた話で、出所も信憑性もまったく不明だけれど、こんな話があったのを思い出す。
ある家庭にいたずら電話がかかる。
気味の悪いその電話は日を追うごとにエスカレートし、我慢できなくなった家主は警察に頼む。
そして警察がそのいたずら電話を逆探知することに成功したのだが、その電話の発信元は、その被害者の家に他ならなかった。と。
実際、表示されている番号はれっきとした別の番号だし(かけなおしたことはないが)怪奇現象ではないだろうと思いはしたが、明らかに電話の向こうにいる事物の挙動はおかしい。
思わず僕も数秒無言になってしまう。
「ぁぅぁぅ・・・ぅゎ・・・ぅぁ・・」
何を伝えようとしているのかまったく分からないし、相手が誰なのか、どんな人物なのかも想像できない。微かな声を聞いて、かろうじて、相手が女性ではないだろうかという確信が増しただけだ。
「も、もしもし」
三度目の声はさすがに僕もどもってしまった。
「ぁ・・ぁ・・・」
僕は耳を澄ます。
「アダモさんじゃないですよね」
「・・・・・」
一瞬頭の中が空白になる。
そして
島崎俊郎の顔が浮かぶ。
・・・
「え、いや、あの、違います」
「
え・・あ・・はい・・・すいません・・・間違えました・・」
プツッ。
ま、間違い電話・・・?!
これは確か一週間ほど前のこと。
が、しかし昨晩もかかってきた。
このことを忘れていた僕はまた普通に電話に出て「はい、もしもし」
と言った瞬間に切られた。
で、番号を見て思い出した。
携帯からはさすがにこんなの更新できないだろうと思って、今朝かいてみた。
アダモさんとは連絡ついてないのだろうか・・・・。